お墓の引越し・移転の流れを簡単にまとめました。改葬の手続き方法とは?
核家族化や住む場所の関係など昨今の家庭環境の変化により、お墓の引越しをしたいと考える方が近年急増しています。
お墓の引越しは大切な遺骨を納める場所を移すわけですから、簡単ではなく、役場などに届出も必要になります。
このページではお墓の引越しについてわかりやすく手順をまとめました。
お墓の引っ越しの事は何と呼ばれている?
お墓の移転、引越しの正式な名称は「改葬(かいそう)」と言います。
すでにお墓や納骨堂に納められている遺骨を、別のお墓などに移動させることを指します。
改葬には大きく分けて4つの方法があり、どの方法を選ぶかによって費用もかわってきます。
改葬の4つの方法
* 遺骨だけを移動するパターン
* 遺骨と墓石をまとめて移動するパターン
* 複数の遺骨があった場合に一部だけを移動するパターン
* 遺骨の一部だけを新しい場所に移動して墓石も新設するパターン
お墓の移転の流れ
お墓の移転(改葬)は今あるお墓の場所、移転先のお墓の場所、そして市区町村役場での手続きが必要になります。
住まいの引っ越しのように、移転先と契約して、市町村に届出をすればいいのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、お墓と同時に大切なご遺骨も移動するわけですから、証明書や許可書の申請や提示など、多くの手続きが必要となります。
期間の目安として、具体的に動いてから最短でも3ヶ月~4ヶ月程度はかかると思っていた方が良いでしょう。
以下に詳しい手順をまとめます。
1. 親族や現在のお墓の管理者に相談する
まずは、親族にお墓の移転を考えていることを相談しましょう。
例え正当な理由があったとしても、相談もなく勝手に行ってしまうと相手の心情的にもよろしくありません。
特に、先祖代々受け継いできたお墓の場合は、慎重に進めないと揉めてしまう可能性があります。
今後そのお墓に入るなどの直接的な関わりが少なくても、お墓参りにくる可能性が少しでもある親族には事前に伝えておいたほうが良いでしょう。
また、親族以外にも今あるお墓の管理者にもお墓の移転の相談をしましょう。
特に先祖代々受け継いできたお墓の場合だったり、お墓がお寺など、地域的なつながりが強い場所にある場合は、お墓を守っていただく以外にも常日頃からにお世話になっていることが多いです。
誠意を持って、お墓の移転を考えるに至った経緯をきちんと説明しましょう。
この相談は、のちに現在のお墓管理者が発行する書類等が必要になるので、手続きをスムーズにするためにも必要なことになります。
2.移転先を検討、決定する
親族や現在のお墓の管理者に相談したら、これから供養をしていくためにどこに新しいお墓をつくるか、移動先の霊園・お寺を探すこととなります。
自宅からの交通の便や宗派、供養の方法などで選ばれる方が多いですが、管理費などの経済面も含め、長い目を見て検討すると良いでしょう。
また、お墓の移転を受け入れていないお寺や霊園もあることを頭に入れておくと良いでしょう。
3. 受入証明書を受け取る
お墓の移転先が決まり契約を済ませたら、移転先の管理者に「受入証明書」を発行してもらいましょう。受入証明書はご遺骨の移転先が決まったことの証明になります。
受入証明書は後ほど申請する、改葬許可申請をする際に必要な書類になります。
4. 移転元のお墓の管理者から埋葬証明書を受け取る
今あるお墓の管理者から「埋葬証明書」を発行してもらいましょう。
埋葬許可証とは、遺骨を埋葬するために必要な許可書で、お墓の移転の際にご遺骨をお墓や納骨堂に納める時に必要になります。
納骨証明書はご遺骨一体につき1枚必要になるので、複数のご遺骨を移動させる場合は、必要な分用意してもらいましょう。
埋葬証明書も後ほど申請する、改葬許可申請をする際に必要な書類になります。
5. 移転元の自治体で改葬許可申請書を受け取る
移転元の自治体で改葬許可申請書の発行を行いましょう。
申請には申請書類の他に「受入証明書」「埋葬証明書」が必要になりますので先に揃えておきましょう。
自治体によってはHPで必要書類の書式がダウンロードできるところも多いので、事前に必要事項を記入して持参するとスムーズです。そのほかにも必要書類や注意事項などが詳しく掲載されていますので、確認しておくことをオススメします。
印鑑も必要な場合が多いので、忘れずに持っていきましょう。
自治体によって発行手数料が無料~300円程度かかります。
注意点として、改葬許可証は申請したその場で受け取ることはできません。
自治体によりますが、改葬許可証は3日~1週間程度(土日祝を除く)で交付されるところが多いようなので、急いでいる方は余裕を持って申請しましょう。
6. 魂抜きを行い、遺骨を引き取る
移転元のお墓に事前に連絡を入れて、遺骨の引き取りを行いましょう。
遺骨の引き取りには「改葬許可証」の提出が必要になり、この段階でやっとお墓の解体を進めることが可能になります。
お墓の解体の前に、魂抜きと呼ばれる閉眼供養を行います。(宗派により呼び名が異なる)
閉眼供養は、今あるお墓の墓石に宿っている仏様の魂を抜き、墓石をただの石に変えるという意味を持つ儀式です。
必要なものなど、詳細は宗派によって異なるので、住職に確認すると良いでしょう。
今まで使用していた墓地は、墓石を解体して更地にして墓地管理者へ返還することが必要になります。
全て1日で終わらす場合は、お墓の管理者や遺骨を取り出す石材店に事前にきちんと打ち合わせをし、段取り良く進むよう手配しておきましょう。
7. 新しいお墓に納骨する
最後に、日取りを決めて移転先の新しいお墓に遺骨を納めます。
新しいお墓に納骨を行う際には、移転先の宗派の方法で「開眼供養」という魂を入れる儀式をしてもらいます。
新しいお墓に納骨した事によって、改葬は無事完了になります。
お墓を移す事はよくないこと?
お墓を移したいけど、ご先祖様の遺骨の場所を変えることはよくないことなのではないのか、バチが当たるのではないかと不安に思う方も多いことでしょう。
安心してください。
きちんと供養してお墓を移せば問題はありません。
例えば、お墓が遠方でなかなかお墓参りができないよりも、しっかりと供養してお墓を移転させて定期的にお墓参りをした方がご先祖様も喜ぶことでしょう。
もちろん理由なくむやみやたらとお墓を移動させるのはいけません。
お墓の移転はお金も時間もかかります。
決して簡単なことではないのです。
お金と時間を使ってでもご先祖さまのお墓を移転を行いたい。
そう考える方の多くが、お墓の移転のその先に墓参りをきちんと行いたい、ご先祖さまを大切にしたいという思いに繋がるのではないのでしょうか?
大事なのはご先祖様に向き合う気持ちです。