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パーキンソン病とはどんな病気?症状と介護するときの注意点を知っておこう

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パーキンソン病は神経変性疾患である神経難病の中では、アルツハイマー病の次に患者数が多いと言われている病気です。しかし、名前は聞いたことがあるけれどその実態はいまいちよくわからないという人も多いことでしょう。

このページではパーキンソン病の症状や進行度合い、介護するときの注意点など「パーキンソン病」についてまとめました。

パーキンソン病とは?

脳の異常のために、体の動きに障害があらわれる病気、それがパーキンソン病です。

現在、日本には約15万人の患者がいるといわれています。

一般的に健康体の異常をきたしていない人は、体を動かしたり感覚を感じるためには、脳から出される「神経伝達物質」によってドーパミンが放出され、スムーズに情報が伝達されます。

一方でパーキンソン病の場合は、中脳の黒質や神経細胞に変性によって神経伝達物質が減少し、放出されるドーパミンの数が少なくなります。
そうすると、上手に脳からの情報が伝達できずに、思うように運動できなかったり、感覚を感じなくなるのです。

詳しい原因は現時点では不明ですが、パーキンソン病は遺伝的な要因と環境的な要因の両方によって発症すると考えられています。
パーキンソン病を身内から遺伝性で発症する人は5〜10%程度で、大半は遺伝とは関係ないと言われています。

パーキンソン病は40歳以上、特に50〜60歳代などの高齢者に多くみられ、高齢になるほど発病する確率が高まるといわれています。
稀に40歳以下の若い人でも発症することがあり、この場合「若年性パーキンソン病」と呼ばれます。

パーキンソン病の症状

パーキンソン病の症状は、

「運動障害」体の動きに関する症状
「非運動症状」体の動き以外の症状

大きくこの2つに分けることが出来ます。

パーキンソン病になると運動障害が現れるため、動くのが億劫になって生活の質が下がり、最終的には寝たきりになってしまう人もいます。

以下で代表的な症状を紹介しますが、一人の患者さんにこれらの症状がすべてが現れるわけではありません。あくまで症状の一つとしてご覧ください。

運動症状

運動症状は、パーキンソン病の発症初期からみられる特徴的な症状です。
特に「ふるえ(振戦)」「こわばり(筋固縮)」「寡動・無動」「姿勢反射障害」はパーキンソン病の4大症状と言われています。

症状は、体の片側から出始め、次第に反対側に広がっていくという特徴があり、ゆっくりと進行します。

パーキンソン病になると自発的な行動が少なくなり、筋力が低下してますます活動しなくなるという悪循環に陥る可能性があります。
初期のパーキンソン病では、身の回りのことは行えますが、症状が進行するにつれ、排泄や着替えといった日常生活に必要なことが自分でできなくなり、介護が必要になります。

振戦/手足のふるえ

パーキンソン病の初期症状で、最も代表的な症状が「振戦(しんせん)」です。
座って何もしていない時や寝ている時のような安静静止時に、手足や顔面、頚部に自分の意志とは関係なく生じる、振るえの症状です。

  • 何もしないでじっとしているときにふるえる
  • 片方の手や足のふるえから始まることが多い
  • 動いたり、何かしようと思うとふるえがおさまる
  • 睡眠中はふるえがおさまるが、目が覚めるとふるえが始まる
  • 1秒間に4~6回の頻度で規則的にふるえる

振戦は片方の手や足の震えから始まることが多いとされています。
睡眠中は震えが収まりますが、目覚めると震えがはじまることが多いようです。
また、何かしようとするときには、震えが弱まったり止まることが多いのが特徴です。

筋固縮/筋肉のこわばり

筋固縮(きんこしゅく)は筋肉の緊張が進むことで、筋肉の収縮と弛緩のバランスがくずれ、関節のこわばりや脱力感を感じるようになる症状です。

  • 肩、膝、指などの筋肉がかたくなって、スムーズに動かしにくい
  • 痛みを感じることもある
  • 間節を十分に伸ばすことができなくなる

手足を動かそうとすると抵抗感を感じたり(鉛管現象)
てガクガクと歯車のように引っかかるような抵抗感(歯車現象)などが断続的に見らえたりします。
手の動作が不自由になることにより、字を書くことやボタンかけ、食事をとることが難しくなる場合があります。

寡動・無動

寡動や無動(かどう・むどう)は運動麻痺や筋力の低下がないにもかかわらず、普段の生活の動作が鈍くなる症状です。
動作を始めるまでに時間がかかったりするようになり、じっとしていることが多くなります。

  • 動きが素早くできない
  • 歩くときに足が出にくくなる(すくみ足)
  • 話し方に抑揚がなくなり、声が小さくなる
  • まばたきが減り、顔の表情が固くなる
  • 書く文字が小さくなる(小字症)

症状が進行すると浴槽をまたぐという動作でさえも困難になることがあり、日常生活に支障をきたすようになってしまいます。
また、顔の表情も次第に乏しくなり、文字の読み書きについての動作も低調なものになっていきます。

姿勢反射障害

姿勢反射障害とは、立つ時や歩く時ににバランスがとりにくくなり、体が傾いたときに体勢を整えにくくなる症状です。転びやすくなるため、見守ることが必要となります。

  • 体のバランスがとりにくくなり、転びやすくなる
  • 症状が進むと、首が下がる、体が斜めに傾くこともある
  • 歩き始めの一歩が出にくく、方向転換をするのが難しい
  • いったん歩き出すと止まれなくなり、駆け出すように足早となる(突進現象)

歩行時は転ばないようにしようとして前傾姿勢になりがちで、歩幅が小刻みになるのが特徴です。
また、いったん歩き出すと、スピードが速くなったり、方向転換が難しくなったりします。

非運動症状

パーキンソン病は運動障害を主徴とする疾患ですが,運動障害以外の非運動症状と言われる問題症状も高頻度であらわれます。

  • 便秘 胃腸の動きが低下し、便秘になりやすい。多くのパーキンソン病の患者さん症状がみられる。
  • 排尿障害 トイレが近くなる。夜間の頻尿から始まることが多い。
  • 脂膏性顔貌 顔が油ぎってくる。
  • 起立性低血圧 血圧が低くなったり、立ち上がったときに立ちくらみ」がする。
  • 睡眠障害 寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなる。
  • 記憶障害 判断力や記憶力が低下する。病気の進行が進むと徐々に現れる。
  • 抑うつ 気分が落ち込む、無関心になったり、不安感が強くなる。

パーキンソン病の進行度合い

パーキンソン病は症状はゆっくりと徐々に進行していく病気なので、その進行の程度によっても症状は様々です。

そこで、病気の進行度を示す指標として、「Hoehn & Yahr(ホーン・ヤール)の重症度分類」と「生活機能障害度分類」が取り入れられています。

ホーン・ヤールの重症度分類

Ⅰ度
体の片側だけに手足のふるえや筋肉のこわばりがみられる。
体の障害はないか、あっても軽い。

Ⅱ度
両方の手足のふるえ、両側の筋肉のこわばりなどがみられる。
日常の生活や仕事がやや不便になる。

Ⅲ度
小刻みに歩く、すくみ足がみられる。方向転換のとき転びやすくなるなど、日常生活に支障が出るが、介助なしに過ごせる。
職種によっては仕事を続けられる。

Ⅳ度
立ち上がる、歩くなどが難しくなる。生活のさまざまな場面で、介助が必要になってくる。

Ⅴ度
車いすが必要になる。ベッドで寝ていることが多くなる。

厚生労働省の生活機能障害度分類

Ⅰ度
日常生活、通院にほとんど介助がいらない。

Ⅱ度
日常生活、通院に部分的な介助が必要になる。

Ⅲ度
日常生活に全面的な介助が必要で、自分だけで、歩いたり、立ち上がったりできない。

パーキンソン病の診断方法


現在のところ、パーキンソン病を確実に診断できる検査法はありません。
そのためパーキンソン病の診断は、代表的な初期症状「振戦」などの運動症状とともに、特徴的な非運動症状を手掛かりとして総合的に診断します。

受診する病院は、神経内科医の受診がお勧めです。
問診や診察、脳の画像検査などを見て、パーキンソン病なのかそれとも脳腫瘍や脳梗塞などパーキンソン病に似た症状が出やすい病気なのかを診断します。

パーキンソン病の治療方法

パーキンソン病の治療法としては、少なくなったドーパミンを補う薬物療法が基本となります。
レボドパ(L-ドーパ)を含む薬剤を投与します。

最近では、外科治療として、電極を埋め込んで症状の改善を図る「深部電極治療」も行われています。
しかし、治療の中心は対症療法であり、疾患の進行を止めるものではありません

パーキンソン病の患者を介護するときの注意点


パーキンソン病は、運動症状、自律神経症状、精神症状など、発現する症状が多岐に渡ります。
日常生活への基本的な援助や訓練はもちろん、二次的障害の予防、精神的不安への援助も必要となります。
発現症状や悩み・不安などは、患者によって大きく異なるので、症状や気持ちに寄り添って包括的な看護ケアが必要不可欠です。

<例>

  • 転倒リスクが高い場合は付き添い歩行や車椅子で対応
  • 誤嚥のリスクが高ければ、食事見守りが必要
  • 振戦が強い場合は食事介助が必要
  • できることは患者が行う。必要以上に手を出さない
  • パーキンソン病友の会に参加する

パーキンソン病と公表した有名人

パーキンソン病と公表した有名人をまとめました。

  • 鄧小平(政治家)
  • 山田風太郎(小説家)
  • モハメド・アリ(米・ボクサー)
  • 岡本太郎(芸術家)
  • 小森和子(映画評論家)
  • 江戸川乱歩(小説家)
  • アドルフ・ヒトラー(政治家)
  • ヨハネ・パウロ2世(ローマ教皇)
  • マイケル・J・フォックス(カナダ・俳優)
  • キャサリーン・ヘプバーン(米・女優)
  • 三浦綾子(小説家)
  • 藤原義江(テナー歌手)
  • E・H・エリック(タレント)

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